芝居 身体表現

以前、大学の文化祭で一人芝居を行ったことがある。

大学に入る前は舞台役者の勉強もしたりしていたのだが、役を演じるということよりも身体の不思議さに目がいってしまいプロの役者として生きていく素養がないと感じ諦めたのだ。その後、趣味で始めた絵画教室から美術の世界にのめり込んで行ってしまった。

 

稽古などをしていると否が応にも感じる自分の身体の変化。ちょっとした体重のかけ方で変わる重心の位置であったり、腹這いになった時の内臓が床に当たる感覚が面白いこと、ちょっと膝を打とうものならその痛みの感じ方をじっくり味わってみたり、いちいちが気にかかり散漫で、演じること自体は楽しいのだが求められる自然な感情を入れて芝居するのが苦手だった。

 

大学の頃に行ったものは「ツグリのひも」という自作自演のお芝居の形のもの。

それまで世界は何某かに支えられ存在しているというような安心感で生きてきたが、気づくとなんの理由も根拠もまだわからないという存在に絶望し、その時に紐が切れたような、浮遊しているような感覚になった体験を思い出して作ったもので、認識が変わった瞬間のことをお話にまとめた。

 

今改めて日々感じるのは、自分の身体がここに在るという証明がしたいということ。自分では本当の意味で見ることが絶対できないという自分のことをリアリティを持った感じ方をしてみたい。